つながるレストラン-街編- レポート
KOBE FOOD CULTURE FEST.のプログラムとして、つながるレストラン街編が開催されました。今回の会場は神戸ベイシェラトン ホテル&タワーズ。灘五郷で日本酒の歴史や製造現場を知り、その後、ホテルが運営する都市農園などで農家や漁師も加わり、地産地消の料理を楽しみました。
その様子をフォトレポートしていきます。
酒蔵の歴史と、酒蔵であり続けるための新たな取り組み
まずはホテルを飛び出し、神戸酒心館へ。神戸酒心館は、270年以上続く老舗の酒蔵。阪神淡路大震災により多大な被害を受けるなどの困難も乗り越え、現在も灘五郷の酒蔵の一つとして様々な取り組みを展開しています。14時過ぎに到着し、お出迎えしてくれたのは、イタリア人スタッフのメソレッラさん。
神戸酒心館では、環境への取り組みに力を入れています。酒米栽培において、神戸の中で循環型の肥料を使ったり、農家さんと一緒にICT農業にも挑戦したりしています。
神戸酒心館の歴史や取り組み、そして酒蔵も見学させていただきました。
ホテルが仕掛ける、農家とつながる菜園へ
参加者のみなさんは、神戸酒心館を後にしてホテルへ戻ります。
神戸ベイシェラトン ホテル&タワーズでは、2013年から農家の顔が見える食の取り組み「シェラトンマルシェ」、2021年からは施設の一部を農園化し、地域の人が農家から野菜作りを教えてもらえる「シェラトンファーム」の取り組みを進めています。最初の食事は、そのシェラトンファーム内で始まりました。
続いて、今回の料理にも登場する生産者のみなさんです。神戸市西区で有機農業を営み、シェラトンファームの運営にも関わっているナチュラリズムファームの大皿さん。
「ずっと話聞くのもあれやから(笑)、乾杯しましょう。」
とのことで、先に乾杯することに。神戸酒心館でつくられている、スパークリングの「福寿発泡純米酒あわ咲き」と、白鶴酒造のノンアルコール「吟零」スパークリングで乾杯です。
続いての登場は、須磨区で海苔の養殖を主とした漁業をしている、すまうら水産の若林さん。本日のお魚を担当いただきました。
そして、チーフソムリエの前田さんから。アペリティフ(食前酒を楽しむ習慣)に並ぶ料理の紹介です。
少しずつ日が暮れていく様子を楽しみながら、ファームでの時間を過ごしました。
海、街、山。神戸の景色を一望しながら地産地消を感じる
日が暮れる頃に、次の会場へ移動します。ホテル21階のダイニング「Kobe Grill」です。
こちらでは、メインのお食事をいただきます。
乾杯は、淡路島で育てたモンドブリエを使ったワインです。
漁師の若林さん。鰆は、春という字が入っていますが、美味しい季節は秋にかけてとのこと。また、最近は様々な環境要因により海の状況も変わってきており、漁獲量が減ったり、魚の種類にも変化が出ていたりするようです。そうしたことから、漁に出る日数を減らしたり漁獲量の制限を行ったりするなど、今後も美味しい魚を食べるための努力がなされているそうです。
神戸酒心館のメソレッラさん。ペアリングしたのは、「福寿 特別純米原酒 無農薬コウノトリ」です。このお酒は、豊岡市で栽培された無農薬コシヒカリを100%使用しています。原料、そして製造工程においても、酒蔵と農家と一体になり環境に配慮した形を模索しています。
有機農家の大皿さん。今回のコース料理には、大皿さんをはじめ、有機農業を営む仲間たちの神戸産の野菜がふんだんに使われています。大皿さんからも、気候変動など農業の危機も迫ってきており、環境に配慮した持続的な農業のあり方を、消費者も含めみんなで考えていく必要がありますというお話がありました。
最後は、中村料理長から。コロナ禍などの影響によって輸入食材が高くなっているものの、日本の食材を見直し、活かすいい機会だと捉えています。生産者から直接食材をいただいて、どうやってその食材を活かすかを考えることは本当に楽しいですというお話をいただきました。
図らずも、生産者、そしてそれを活かす人たちにとっても、環境への危機感がそれぞれの目線で共有される時間となりました。ただ危機を煽るのではなく、どうやって前向きに取り組んでいくのか。そのためには人と人がつながっていくことが欠かせません。今後も、こうした場を通じてつながる場をつくっていきたいと思いました。ご参加いただいたみなさま、関わっていただいたみなさまありがとうございました。