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一汁一菜に野菜サラダを足して

I LOVE 野菜 01

一汁一菜に野菜サラダを足して

書き手 : 豊田香純(spacemoth / fripier ZOETROPE)

お料理するのも好きですが、決して得意とはいえず、日々の食卓は、私の仕事の関係もあり、なかなか手の込んだものや品数をつくれないことで、家族に申し訳ないなあと思うこともしばしば…。
そんな時、たまたま目にした、料理研究家 土井善晴さんの「料理の基本は『一汁一菜』でよいのです」という言葉に救われて、限られた時間の中での毎日のお料理を気負わず楽しめるようになりました。ご存知のとおり「一汁一菜」とは、ごはんに汁物と一品のシンプルな献立です。

私の場合はこの基本型に、毎日「野菜サラダ」が加わります。
ただレタスとプチトマトをドレッシングであえたごくごくシンプルなものですが、人によっては、レタスなど生の葉野菜は栄養がなさそう、かさばって見えるけど量的に実はほんの少し、などサラダにそこまで意義を見出せないような意見(?)もあるかもしれません。
私にとっては、食事のはじまりにまずお汁物をひとくちいただいて、それからサラダを少し食べることで、胃にふわふわのレタスのクッションが敷かれて、次に続くお料理を受け入れる準備が整うような、身体が「これから食事がはじまるのね」というまさに「アントレ(=入り口)」としての役割と、お料理の最後に少し残しておいたサラダを食べることで、口の中がさっぱり爽やかになり、「ああ美味しかった!」と感謝して食事を終えるような…ちょっと大げさですが、私にとって毎日のサラダは、命をいただくセレモニーのはじまりとおわりを告げるベルのような存在かもしれません(!)。

サラダのドレッシングは、以前は市販のものからあれこれこだわって選んだりしていましたが、フランスに長く住んでいた家族から「自分でつくれるよ」と教えてもらってからは、ドレッシングづくりが日々の料理の中でもクリエイティブな行程になりました(自己流ではありますが)。
基本は、香辛料、お酢、塩分、油の4つの組み合わせですが、ポイントは、
I. 蜂蜜や果汁100%のジュースを加えて味をやわらげること
II. 材料をよくかき混ぜて味が決まってから最後にオイルを入れること
III. できれば小さく刻んだ白ネギ(エシャロットの代わり)をサラダにふりかけること の3つです。

その日の主菜によって、香辛料を粒マスタードやわさび、生のパクチーがあるときはスイートチリやナンプラーを加えてタイ風にしてみたり、お酢はバルサミコや黒酢、ワインビネガーに。塩分は時にハーブソルトやお醤油も入れて。油は洋風ならオリーブオイル、和風なら胡麻油…と、その日の献立全体のバランスを考えて、調和させたりアクセントになるような配合をあれこれ試してみるのがとても楽しいのです。

ちなみに、プチトマトは縦にではなく横にカットすると切り口の断面がかわいいよ、というのも教えてもらいました(たしかに、ウーパールーパーの足みたいになってかわいいです)。
お野菜の楽しみは日々尽きません。


豊田香純
spacemoth / fripier ZOETROPE店主。子どもの頃から野菜好き。特に好きなのはれんこん、かぶ、じゅんさいなど歯ざわりや食感にちょっと意外性のあるもの。お店は乙仲通の栄町ビルディングの3階に。
Instagram : @_spacemoth_
Twitter : @spacemoth_zoe