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村芝居にこそ芸能あり!?  「農村歌舞伎上演会」レポート。

およそ700棟もの茅葺き民家がのこる神戸市北区。WEBサイト「茅葺神戸」(https://kayabukikobe.com/)での情報発信も進んでいます。

そんな北区には、江戸期から続く地芝居、素人歌舞伎とそのための舞台がいくつも見られます。2000年から毎年、そうした舞台を活用した「農村歌舞伎上演会」を実施。昨年、一昨年はコロナ禍のため動画配信など縮小した開催としていましたが、2年ぶりの一般公開となった2022年は、山田町下谷上 天彦根神社境内にある農村歌舞伎舞台にて、10月30日に上演会が開催されました。

ちなみに、これまでには山田町上谷上 天満神社境内、山田町小河 大歳神社境内、国営明石海峡公園神戸地区 あいな里山公園の農村舞台で上演会が行われてきました。

まずは、実際の歌舞伎公演でも上演機会の多い、双蝶々曲輪日記「引窓」。神戸すずらん歌舞伎による熱演。

下谷上の農村歌舞伎舞台は江戸時代末期の1840年建立。花道や回り舞台を備えるだけでなく、全国でも唯一という花道の一部から反り橋が出る特殊機構まで! 上演会ではそうした舞台機構の解説や実演も行われました。

規模が大きく、貴重な機構を備えた下谷上の農村歌舞伎舞台は国の重要有形民俗文化財に指定されています。

舞台を見守るように神社のお社が。

まさに下谷上の集落と地続きにある舞台。かつて村の人たちがこの場所に集い、芝居を披露しあった風景が自然と目に浮かぶようです。

後半は、六甲丹生かぶきによる「寿・三番叟」と仮名手本忠臣蔵「足利館裏門の場」。

仮名手本忠臣蔵のお軽と勘平を演じるのは、小学校1年、2年生のふたり! 微笑ましく寄り添う姿に、何度も「ご両人!」の掛け声がかかりました。

花道を渡ってやって来る道化役の鷺坂伴内は中学1年生女子! 会場はさらに拍手喝采。

居並ぶ伴内の家来たちの中には、体験教室から今回の出演となった海外の方もおられました。歌舞伎って実は多くの人に開かれた、とても懐の広い芸能なんだとひしひしと実感させてくれる上演会、ちょっとやってみたいなと思いました。

神戸すずらん歌舞伎では2023年1~3月に北区文化センターで体験教室を開催。六甲丹生かぶきは役者、スタッフともに募集中とのこと。ぜひ。

文:竹内厚

写真:岩本順平