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ほどよく改装された古民家で 神戸ならではの薬膳を

西区伊川谷町の古民家をみごとに改装して20年1月、オープン。いまや日々のランチは予約客でいっぱいに。味に効用、見た目と三拍子揃った季節ごとの薬膳が評判を呼び、すっかり繁盛店となったローゼンファームズカフェを訪ねました。

威風堂々たる建物は、築120年という旧庄屋をリノベーションしたもの。

全体に色のトーンがほどよくて、古民家がうまく現代風にアップデートされている。

広々とした玄関土間は、そのままレジカウンターと野菜などの販売スペースに。

農家直送の朝採れ野菜。農家さんの付けた値段がそのまま。結果、とても新鮮かつ安い!

ランチ終わりがけに伺っても店内にはお客さんがぎっしり…だったので、お客さんが帰った後の一角をささっと撮影。座卓ではなくすべて椅子席にしたのが、結果的には好評を博すことに。

中庭の緑も美しく、四季折々を身近に感じられる。

ベジタブルデリプレートランチ1,780円(ドリンク、ミニスイーツ付)。メニューは季節ごとに替わり、こちらは春(後半)の薬膳。この日は、ゴボウのクミンきんぴら、スナップエンドウのマスタード和え、さつま芋のピクルスなど、プレート上に10品。みそ汁は、いなむるち味噌を使った沖縄風。

国際中医薬膳師の資格を持つ調理師によって、薬膳=食養生の考えに基づくメニューがつくられている。

ベジタブルスパイスカレー1,780円(ドリンク、ミニスイーツ付)も。豆乳ココナッツミルクカレーなど3種のカレー盛り合わせ。

「薬膳をそこまで前面に出してるわけでもなくて、生薬を使っているものもありますけど、全体に食べやすいものばかり。食材というのはすべてに何らかの効用があるものなので、それを組み合わせることで免疫力向上だったり、内蔵を健やかにしたりって効用もありますよってことをもっと知ってもらいたくて」。

店長にして接客も担当される土田洋平さん。聞けば、薬膳の意味や一品ずつの効用なども教えてくれる。

開店以来、地元農家との付き合いを増やしていき、今では10軒ほどの農家から野菜や果実を仕入れるそう。加えて、直売所の野菜も使って、メニューの細部は仕入れによって日々異なる。

「朝に採れた野菜をそのまま提供できるので、そこは本当に自信をもってオススメできるところです」。

「GOOD FARMS MAKE GOOD TABLES」を掲げる。よき農場がよき食卓をつくる。

20年1月の開業といえば、コロナ禍真っ最中。当初は大変苦労したそうだが、テイクアウトやお弁当などを販売しながら、店を閉めることなく営業を続けた。

「いちど店を閉めてしまうと負けだなって。できることをこつこつと積み上げていって。その頃にやってたことが今につながって、ちゃんと実を結んでる感じがしています」。

カフェメニューは華やかな雰囲気。季節のフルーツのスムージー680円と日替わりミニスイーツ。この日はバナナナッツブラウニーとイチゴのミニパンナコッタ。
他にグルテンフリーのベイクドスイーツプレートなど、スイーツメニューも充実。

この日のスムージーはイチゴだったが、イチジク、モモ、メロン、ナシなどと替わっていく。これも年々、つきあいのある農家が増えていったからこそ。

デトックスウォーターはご自由に。

店内で使われている沖縄のやちむん、丹波焼の雅峰窯といった器類は販売も。

店長の土田さんは、こちらの店のオーナーが大阪で営む「居酒屋しっぽや」の常連だったそうで、そこでの出会いから「ローゼンファームズカフェ」を任されることになったという。今は伊川谷へ移り住み、地域のためにも貢献したいと力を注いでいる。

 

 

ローゼンファームズカフェ
●西区伊川谷町前開1825
営業時間:ランチ1部・11時~、ランチ2部・13時~ カフェ15~16時L.O 月曜&月1火曜不定休 ※月曜祝日の場合は翌日休
電話:078-940-8955
instagram:@rawzen_farms_cafe

 

<ローゼンファームズカフェまでの道のり>

文:竹内厚

写真:岩本順平