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ヘルシーファーム / 入谷周太郎さん

入谷周太郎の<ある冬の日曜日の日記>

日曜日は毎週、西村さんが手伝いに来てくれる日です。西村さんとは私が研修時代からの長い付き合いです。今日の作業は露地のオクラを片付け、堆肥・石灰を振り、耕耘、畝頭の整えです。朝9時前に来て、夕方5時頃までの時間、昼休みの1時間休憩以外ほぼ私と一緒に同じ作業をします。私より20歳以上年上であるにもかかわらず、真夏でも同じです(頭が下がります)。畑に一緒に行き、作業内容を説明するだけで、後は、世間話をしながらの作業です。
昼の3時頃からは、かぶら・大根の間引き、ハウスのオクラや三度豆、里芋の収穫です。規格外の野菜が西村さんのその日の報酬みたいなもので、収穫時や私の袋詰め作業時に出てくる規格外の野菜をありがたく持って帰ってくれ、その味の感想も言ってくれるので、非常に助かります。今日も西村さんの好物であるかぶら・大根の間引き菜やオクラ・なす・サツマイモなどの規格外をうれしそうに持って帰ってくれました。

入谷周太郎さんに5つの質問

ー Q1:農家歴
18年目になります。大学4回生のときに農業のことを考えました。とりあえず農業土木の仕事に就いたのですが、農業をしたいという思いは募っていくばかりでした。同期がそれぞれ自分の道を歩み出したのも大きなきっかけとなって、いろいろと調べ、農家で有機農業を学ぼうと決意しました。そこが神戸市西区の神出町にあるヘルシーファームでした。30歳の頃です。

ー Q2:栽培作物
葉物、根菜類、果菜類、量も数も多いですね。玉ねぎを年中出荷できないかと、そこにも力を入れています。ハウスが約5反、米が7反。直売所、「Kobe Farmers Market」、スーパーなどに出荷しています。

ー Q3:好きな野菜の好きな食べ方
実は聞かれて一番困る質問なんです。収穫したものを生でかじる、これかなぁ。「とうもろこしを生でうれしそうに食べてた」なんて目撃されてたりもします…。

ー Q4:気になる農機具
最近導入したのは田んぼの除草機、斜面の草刈りができるスパイダーモア、トラクターの後ろにつけるハンマーモア、草粉砕機、それから虫対策の黄色蛍光灯など。次に狙っているのは、トラクターの買い替えです。

ー Q5:尊敬している農家さん
ヘルシーファームを立ち上げてずっとがんばってやってこられた親方の西馬正さんと奥様のきむ子さんです。私も今、社長としてヘルシーファームを発展させようとがんばっていますが、親方はとにかく農作業も経理もなんでもやっておられた。亡くなる前日に遺言のような、親方の思いを託されたのですが、やっぱり日々たいへんです。もし今、親方と会話できるのなら文句の一つや二つ言いたいなぁ。冗談ですけどね。

※特別に取材後記もどうぞ
研修期間の最初の半年は週末だけ、その後の1年間は毎日学んでいた入谷さん。ある日、きむ子さんから声がかかり、社員として働くようになり、やがては社長となっていきました。とにかくがむしゃらに働きました、という言葉は過去形ではなくて今も続いています。そんな人柄もあって、親方もきむ子さんも社長に推したのでしょう。前日の会話はどんな感じだったのでしょうか。思いは膨らみます。
「農業をやりたい人、だけど金銭的に不安があったり一度失敗したけど諦めきれない人たちの受け皿になりたい」とヘルシーファームの将来的な目標を掲げています。「給料を得ながら学んでいってほしい、給料があれば食べていける、そんなシステムを構築したい」と思いは続きます。資本金ゼロ、お金なくてもやっていけるよと言えるようになりたい、とも。自分もそうだったから、と笑う入谷さん、まだまだがむしゃらに働きそうです。新規就農者の希望のために。